テレビCMがどのくらいの熱心さで観られているか

2009/10/26 07:17

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テレビコマーシャルイメージ先日【テレビを「つけている時間」と「観ている時間」の違い】でも触れたように、報道機関向けには2009年10月16日までに、BPO(放送倫理・番組向上機構)は報告書「“デジタルネイティブ”はテレビをどう見ているか?-番組視聴実態300人調査」を提示した。その報告書のインターネット経由による一般公開が、ようやく先日10月23日に行われ、その全貌を知ることが可能となった。興味深いデータも数多く掲載されていることもあり、今回も含めて何回かに分けて、各種調査結果データをグラフ化・分析してみることにする。該当資料は【こちら】に掲載されている。



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今調査は2008年11月10日から11月16日までの間に、専門調査員による訪問留置調査方式で行われたもので、有効回答数は311。16歳から24歳の東京都内に住む男女を対象としており、年齢階層は非公開。職業別階層では高校生114・大学生92・社会人59・パートやアルバイト24など。資料タイトルにもあるように、若年層を対象とした結果であることに留意する必要がある。

今回取り上げる項目は「CM(コマーシャル、ここではテレビコマーシャル)視聴の傾向について」。テレビCMについては昨今の記事でも【テレビを「つけている時間」と「観ている時間」の違い】【テレビは「見てるだけ」ではなく「つけているだけ」!?】【「テレビをつけている時間」と「視聴時間」、「視聴率」を考え直してみる】などで提議しているが、「テレビがついている(と思われる)時間イコールテレビ番組やテレビCMを観ている時間とは限らない」という問題がある。

今は色々な情報手段が気軽に使える時代。昔のようにお茶の間の主役としてどんとテレビが構え、それに正座して向かい、番組もコマーシャルも注力して観るという視聴スタイルをしている人はほとんどいないはず。そのような状況下で、テレビCMはどのように観られているのか、その一端を示すのがこの調査結果だ。

CM視聴の傾向
CM視聴の傾向

テレビを生放送で観る人ですら、番組と同じように観る人は1/4程度でしかない。注力度が落ちるレベルで観る人は4割以上に達し、離席するなどして事実上観ない人は2割に達している。さらにチャンネルを変える人も1割(その間は当然CMは観れない)もあわせると、「観ない人3割、なんとなくしか観ない人4割」という結果になる。

テレビCMと番組本編との関係においては、

「番組は視聴率を高める程度に良い内容である必要があるが、あまり注力させすぎるものも良くない。良い内容で熱心に番組本編を観られると、CMで息抜きされてしまい、CMへの注力度が落ちる」

「むしろ視聴率と内容の充実度がそこそこのバランスをもった番組の方が、視聴者からはCMにもそれなりの注力を割いてもらえるので、CMの効果は高くなる」

という話がある。今結果を見る限りでは、すでにそれ以前のレベルに至っている感が強い。あるいは元々テレビCMとは、このくらいの注力度を前提に想定されているのかもしれない(過去からの経年データが無いのが残念だ)。

さらに別の意味で気になるのが、録画再生時の行動パターン。元々生放送でCM放送時にそれを観ない人は、「観たいのは番組であってCMでは無い」という考えの人。だからこそ、ここまでCMへの拒否反応が強いものと思われる。また、熱心にCMを観ない層は元々興味が薄いのだから、8割近くが早送りにしても当然。しかし生放送ではCMをそのまま観て、録画再生もする人ですら、テレビCMの視聴割合は低下し、早送りをする人が6割強に達している。そして自動CMカット機能は数%レベルだが、これも無視できない値には違いない。



幸いにも(!?)今調査母体においては、計測したテレビ番組の視聴スタイルについて、テレビモニターで直接(生で)観た人は96.2%に達しており、HDDやビデオ・DVDでの録画再生はそれぞれ0.8%・0.7%に過ぎない。録画再生時のテレビCMの視聴スタイルが、視聴率やテレビCMの界隈に影響を及ぼすことは「今のところ」無いだろう。

むしろ生放送でテレビを観る際、番組そのものだけでなくテレビCMにおいても、番組同様に注力して観られる割合は3割に満たず、観られていない可能性が極めて高い割合が3割を超えていることに、重大な関心が寄せられるべきといえよう。



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