テレビはいまだに情報源として重要、でも世代別でみると……
2009/09/22 09:06
文化庁は2009年9月4日、国語に関する世論調査の概要を発表した。それによると、情報の取得元としてテレビを利用している人は全年齢層で8-9割に達し、情報源としてのテレビの存在感が改めて認識できる結果となった。一方でインターネットを利用する人は10-40代では4-5割に達しているのに対し、50代以降は2割以下に急落するなど、世代ごとのメディアにおける世代間の差異が見える結果も出ている(【発表リリース】)。
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今調査は2009年3月に個別面接調査方式で行われたもので、有効回答数は1954人。男女比、年齢階層比などは非公開。
毎日の生活に必要な情報を何から得ているかとの問いに対し、全体ではテレビがもっとも多く86.0%に達していた。次いで新聞が76.6%、パソコン(インターネット)が29.8%、雑誌が18.7%、ラジオが16.2%、ちらしやビラが12.9%、携帯電話が12.1%。ただし年齢階層により大きな差異があり、主要4項目、すなわちテレビ・新聞・パソコン(インターネット)・雑誌について年齢区分ごとにグラフ化すると次のようになる。
必要な情報を何から得るか(2008年度)
・10-20代は新聞や雑誌よりもインターネットの利用率が高い。
・インターネットは10-40代までは横ばいだが、50代以降になると急速に低下する。
・新聞は30代以降利用率が急増する。
データの内容としては以前【「新聞って信頼できるよね」「正確だよね」はそれぞれ6割、ただし若者と高齢者の間には大きなギャップも】でも紹介した財団法人新聞通信調査会の「メディアに関する全国世論調査」の結果とほぼ同じである。
一方、文化庁の「国語に関する世論調査」は毎年行われており、その中で同様の調査を行った2001年度分のデータと比較すると、メディアの利用度合いの変移が見えてくる。
必要な情報を何から得るか(2001年度)
必要な情報を何から得るか(テレビ、2008年度、2001年との比較)
必要な情報を何から得るか(新聞、2008年度、2001年との比較)
必要な情報を何から得るか(パソコン(インターネット)、2008年度、2001年との比較)
必要な情報を何から得るか(雑誌、2008年度、2001年との比較)
・テレビは10-40代、特に30代の減少率が大きい。
・新聞は10-40代の減少率が著しい。特に10代は約半分に激減。
・インターネットは10-40台で2倍以上に増加している。50-60代も倍率の上では大きいが、絶対値は若年層より急に減少している。
・10-40代、特に10-20代の雑誌離れが著しい。
特にテレビとインターネットを比すると、いずれも30代で大きな変移が起きているのが分かる。テレビは凹み、インターネットは凸の形をしているのが確認できよう。今後メディアに対する視聴者の立ち位置の変化があるとすれば、この世代やその前後の世代が中心になるかもしれない。
やや余談だが、4媒体の2001年から2008年の値の変化率をグラフにすると次のようになる。
必要な情報を何から得るか(2001年度から2008年度の変化率)
テレビや新聞、雑誌などの旧メディア離れは10-40代、特に10-20代で急激な動きを見せているのが分かる。一方インターネットのような新メディアへの対応は10-40代で著しい。
このデータを見ると、「進化に追いつけない50代以降」「進化にもまれつつ旧メディアからの後ずさりもゆっくりとしている30-40代」「先進的に新メディアを取り込み旧メディアから距離を置く10-20代」という3つの階層区分が見えてくる。これは以前【ついに「テレビよりインターネット」の世代登場・年齢差がきわだつメディアへの接触時間】の後半部分でふれた、「自分が生きている間に触れた、新(世代)メディアとの接触時間の割合と影響」で考えれば、ある程度納得することもできよう。
新世代メディアの展開を10年と仮定した時の、各年齢における「自分の人生全体における新世代メディアとの接触年数」(概念図)(再録)
なお今回公開されたデータでは、携帯電話における年齢階層別の利用度が無いのが残念。恐らくは若年層に集中した結果が出ていることだろう。
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